枕詞一覧


 私が、初めて『万葉集』の「枕詞」を意識したのは、つい最近のことだ
勿論、それまでにも幾つかの「枕詞」に関する書には触れたが、それほど積極的にはなれなかった
「どうせ、ある語を導き出すための、修飾語みたいなものだろう」程度の認識であり、中には深い意味合いも含まれるものがあっても
ただただ訳をつけた場合に、冗長になりかねない、そんな気持ちすらあった
修飾される語に、具体的なイメージが沸くのなら、説明的な「枕詞」など、確かにくどいのでは、とも思っていたものだ
しかし、このサイトの更新を毎日のように行っていると、それをいちいち「語義解釈」の表に載せるのも煩わしくなり
いっそのこと、一覧表を作って、そこにリンクさせれば、と安易に考えてしまった
 そこで、『万葉集』から「枕詞」を拾い出す作業を始めたら、中には「古語辞典」にも載らない「枕詞」もあり
あるいは、幾つかの注釈書では「枕詞」と解されていても、ある注釈書では、その「語義」を解説することもあった
現実的に、すべての解釈が必要とは思わないが、どうしてその言葉が「枕詞」として用いられたかを、知ると知らないとでは
歌に秘められた「こころ」に、見落としかねない「何か」を感じてしまった

 昨日(2013年11月23日)、古書店から購入した一冊の本、
山口正著「万葉修辞の研究」(武蔵野書院、昭和三十九年十一月刊行)の第四章「万葉集の修辞法 四:枕詞」を読み出す
この本の評価は、私には解らないが、この本を「修辞学」の、私の初めて手にした本だという「意味」を感じて
その序文にあたる箇所だけでも、この「枕詞一覧」の頭に載せておく

       

 
 
「万葉修辞の研究」第四章万葉集の修辞法 四:枕詞 その冒頭文より 
古代の末期近くなった頃から、歌学の方で歌語の語彙辞典の類が幼稚ながら漸く出現しはじめ、その中で枕詞がとりあげられてきて、その数も増大していった。万葉学が起こり註釈が進んでくると、その中で更に枕詞に対する認識は進んだものとなった。それが全体として枕詞を考察するようになったとき、ここに初めて枕詞の本格的な研究史が緒についたといえよう。
 全体として枕詞が考察されるようになったのは、下河辺長流の「枕詞燭明抄」が始まりである。約100種の枕詞について解説し、諸家の説を勘案した上での自説を打出している。長流には「万葉集管見」があって、そこでも枕詞に触れているので、長流の説は両書相補うことで見ることができる。
 長龍の知友たる契沖阿闍梨は「万葉代匠記」を書いてその中で、「総釈」のところに「枕詞」「序歌」としてイロハ順に例を出し、枕詞だけ解説が施してある。約350種の枕詞が出ているので、大概のものがはいっていることになる。
 真淵の「冠辞考」に至って、枕詞研究史上の一時期が開かれることになる。数は320種程度であるが、解説がずっと実証的に且つくわしくなるのである。その説は今日でも充分通用できるものが多いので、「万葉考」その他に散見する説と共に注目されている。
 鹿持雅澄の「万葉集古義」に、その一部として収められた「万葉集枕詞解」は、約400種の枕詞について、「冠辞考」を訂正したり諸説を集大成したりして尨大な専門書としてまとめ上げたものである。「冠辞考」と共に枕詞研究史上の金字塔ともいうべきものである。
 私は枕詞の認定、解釈に当って、以上の四種の枕詞研究書を参考にすることにし、その機能を考える場合でもこれらの署にどう書かれているかを以って判断の目安とした。実際にどの様に用いられているかを知るため、枕詞毎に出所やあり方について表覧にしてまとめてみたが、そこに右の四種の枕詞研究書の欄を設けたのは、史的に順序づけられる四書にどうなっているかを、たとえ大まかでも知ることが何らかの場合に必要と思ったからである。
 
 
       

 まさにこの一文に、今私自身が我流ながら行っている「姿勢」が共鳴してしまった
このような研究姿勢とは、実際は程遠いものだが、その考え方は、私自身もいつも思っているところだった
この「枕詞」の文字を「万葉歌」と置き換えれば、まさにそうあるべきだ、と唸ってしまう
 私のしてることなど、大したことはないが、少なくとも研究者自身のように、自らその「語彙」を紐解くことと、
さらに、その拠り所とする出典をも、ある時には見詰め直し批判する、あくまで自分が納得できるためには、幾つもの諸本に顧みることも必要だから
 
 基本的には、この「枕詞一覧」の活用は、「書庫」に収める万葉歌の解釈の一助にでもなれば、という位置付けではあるが
開始すれば、いつしかこの頁も、単に古語辞典の引用だけではなく、「原義」についても関わるものとしていきたいものだ
補うことがあれば、その都度更新する
 
 枕詞見出し    かかる語  原 義  掲載歌の用例
 あかねさす  茜さす  日・昼・紫・照る・月・君  茜色に美しく輝くことから  3879
 あかぼしの  明星の  明く・飽く  明星が明け方に出ることから  
 あからひく  朱引く  日・朝・膚  赤味を帯びることから
 あきかぜの  秋風の  吹く・吹き上げ・千江(ちえ)  秋に吹く風  4539
 あきくさの  秋草の  結ぶ  草を結んで幸運、繁栄を祈ることから  
 あきづしま  秋津島・秋津中洲  大和  「大和の国」「日本の国」の異称  3264
 あきはぎの  秋萩の  移る・しなふ・花野  萩の性質をとらえて  2289
 あさがすみ  朝霞  鹿火(かひ)・八重・ほのか  朝霞は幾重にもかかることから  1880
 あさがほの  朝顔の  ほに咲き出づ  朝霞は幾重にもかかることから  
 あさがみの  朝髪の  乱る  朝起きたばかりの髪は乱れていることから  727
 あさぎりの  朝霧の  乱る・おほに・思ひ惑ふ・八重  朝、立ちこめる霧  602
 あさしもの  朝霜の  消(け)・御木(みけ)  朝の霜は消えやすいことから  
 あさぢはら  浅茅原  つばらつばら(しみじみ)  「ちはら」と「つはら」の音の類似から  336
 あさぢふの  浅茅生の  小野  茅萱の生えている野の意から  
 あさつゆの  朝露の  消(け)・命・置く  朝露は消えやすいこと、草木におくことから  2697
 あさどりの  朝鳥の  朝立つ・通ふ・音(ね)泣く  朝、鳥がねぐらを飛び立ち、あちこち通うことから  
 あさみどり  浅緑  糸・柳・草・野辺  浅緑色の意から  
 あさもよし  朝裳よし・麻裳よし  紀・紀国・紀人・紀方・城上(きのへ)  麻で作った裳の名産地であったことから  
 あしかきの  葦垣の  古(ふ)る・乱る・間ぢか・外(ほか)・吉野  葦垣はすぐ古くなり乱れやすいこと、間隔を詰めて作ることから  
 あしがもの  葦鴨の  うち群(む)る  葦の生えている水辺に群れて居る鴨の異名から  
 あしたづの  葦田鶴の  ねに泣く  葦の生えている水辺に居る鶴の異名から  
 あしのね  葦の根の  ねもころ・分く・短き・憂き・世・夜  「根」の同音、葦には節(よ)があることから「夜・世」、根が分かれていることから「分く」  
 あしひきの  足引きの  山・峰(を)・尾の上・八峰(やつを)・岩根・岩・木(こ)・嵐・野・遠面(をても)・葛城山・笛吹山・岩倉山  山と同義の語、山の縁から転じた語、後には固有の山の名にかかる  107
 あすかがは  飛鳥川  明日(あす)  淵瀬の定まらないことで知られ、世の無常に喩えられる  2710
 あぢさはふ    目・夜昼知らず    2946
 あづさゆみ  梓弓  い・いる・ひく・はる・本(もと)・末・弦・おす・寄る・かへる・ふす・たつ・や・音  弓の縁でかかる  2510
 あまぐもの  天雲の  はるか・たゆたふ・ゆくらゆくら・行く・別る・奥・たどきも知らず・外(よそ)  雲が定めなく漂うことから、雲の奥がはるか遠くにあることから、雲が遠くに飛んで行くことから  
 あまごもり  雨隠り  三笠(地名)    
 あまごろも  天衣    雨を防ぐために着る衣服から  
 あまざかる  天離る  ひな・向かひ  天空のはるか彼方に離れていることから  
 あまづたふ  天伝ふ  入り日・日  空を伝い行く太陽の意から  
 あまてるや  天照るや    空に照る意から  
 あまとぶや  天飛ぶや  鳥・雁・軽  空を飛ぶ意から  
 あまのはら  天の原  富士  大空に聳える意から  
 あまびこの  天彦の  おと  こだまの意から  
 あもりつく  天降り付く・天降り著く  天の香具山・神の香具山  香具山は天から降ったという伝説から  
 あやめぐさ  菖蒲草  あや・ね  同音の「あや」、根を賞することから「ね」に  
 あらかねの  粗金の  つち(土・地)  「あらがね」を槌で鍛えることから  
 あらたへの  新妙の  藤井・藤江・藤原  藤の繊維で作った粗末な布を「あらたへ」というところから  
 あらたまの  新玉の・荒玉の  年・月・日・来経(きふ)・春  「かかる理由は未詳」  4268
 あらひきぬ  洗ひ衣  とりかひ川  洗った衣に取り替えることから  
 あられふ  霰降り  遠・鹿島(地名)    
 ありそなみ  荒磯波  あり  同音の繰り返しから  
 あわゆきの  沫雪の・泡雪の  消(け)  泡のように消えやすいことから  
 あをぐもの  青雲の  出づ・白・白肩  雲の出る意、白を含む雲の色から地名の「白肩」に  3540
 あをによし  青丹よし  奈良・国内(くのち)  上代、奈良から青丹(青土)が出たことによる  1050
 あをはたの  青旗の  木幡・忍坂の山・葛城山  青々と木の茂る様子が青い旗のように見えるところからの地名  
 あをやぎの  青柳の  細き眉(まよ)ね・葛城山・いと  青柳の枝や葉が細いところから、葛にするところから「葛城山」に 1055
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 いさなとり  鯨取り  海・浜・灘  鯨をとる意から  
 いしたふや    あまはせづかひ    
 いそのかみ  石の上  布留(ふる)・降る・古(ふ)る  石上は大和の地名で、ここに布留(ふる)という地名があることから  1772
 いそまつの  磯松の  常に  磯に生える松が長生きで常緑であることから  
 いなのめの  稲の目の  明く・飽く    
 いはばしの  石橋の  間(ま)・近し・遠し  川の浅瀬に石を置き並べて橋としたものから  2710
 いはばしる  石走る  滝・垂水・あふみ(近江・淡海)  水がしぶきを上げながら岩の上を激しく流れる意から  
 いめたてて  射目立てて  跡見(とみ、地名)  「跡見(とみ)」(狩猟のとき獣の足跡を調べること)をして「射目」を設けることから、地名「跡見」にかかる  
 いもがうむ  妹が績(う)む  小津(地名)  「妹の績む(紡ぐ)麻(を)」の意から地名「小津(をづ)」にかかる  
 いもがきる  妹が着る  三笠  妹がかぶる御笠の意から、地名「三笠(みかさ)」にかかる  
 いもがそで  妹が袖  巻来(まきき、地名)  妹が袖を巻く意から、地名「巻来(まきき)」にかかる  
 いもがてを  妹が手を  取石(とろし、地名)  妹の手を取るの意から、「とる」と同音を含む地名「取石」にかかる  
 いもがひ  妹が手を  結八川(ゆふやかは)  妹の下紐を結ぶ意の「結(ゆ)ふ」と同音を含むことから  
 いもがめを  妹が目を  始見(みそみ、地名)  妹の目を見初めるの意で同音を含むことから「始見(みそみ)」にかかる  
 いもにこひ  妹に恋ひ  吾の松原(あがのまつばら、地名)  妹を恋しく思って私が待っているの意から、「あがまつ」と同音を含む地名「吾の松原」にかかる  
 いゆししの  射ゆ獣の  心を痛み・行き死ぬ  射られて負傷した動物が痛み苦しみ、また行き疲れて死ぬの意から  
 いりひなす  入り日なす  隠る(=死ぬ)  夕日のごとく、の意から  
 いれひもの  入れ紐の  むすび    
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 うかねらふ  窺狙ふ  跡見山(とみやま)  狩猟で鳥獣の足跡を見てうかがい狙う役を「跡見(とみ)」という  
 うきくさの  浮き草の  浮き  水面や水中に浮かび上がっている草で、根が固定していないことから  
 うたかたの  泡沫の  消ゆ・憂き  水の泡(うたかた)が水面に浮ぶことから同音の「憂き」に、
また消えやすいことから、「消ゆ」にかかる
 
 うちそを  打ち麻を  績(う)む・麻(を)・麻続(をみ)  打って柔らかくした麻、「そ」は「麻」の古名  
 うちなびく  打ち靡く  草・黒髪・春  草がなびくようすから  
 うちひさす  うち日さす  都・宮・宮路  日の光が輝く意から  
 うちよする  打ち寄する  駿河  「うちよする」の「する」と同音であることから「するが」にかかる  
 うつせみの  空蝉の・虚蝉の  世・命・人・借れる身・うつしこころ  「この世の人」の意から  600
 うづらなく  鶉鳴く  古(ふ)り・古る  鶉は草深い野や古びて荒れた所で鳴くことから  1562
 うばたまの  鳥羽玉の  黒・闇・夜・夢  うばたま(ぬばたま)は黒いことから  726
 うまさけ(を)  旨酒・美酒  三輪・三室・三諸・神  「うまさけ」である神酒(みわ)から同音の「三輪」、三輪山の別名「三室(みむろ)・三諸(みもろ)にかかる
また酒は醸(か)んでつくったところから、「神(かむ)」にもかかる
 3280
 うもれきの  埋もれ木の  下・知れぬ  埋もれ木は、水中や地中にあって外に見えないところから  
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 おきつとり  沖つ鳥  鴨・味経(あぢふ、地名)  沖にいる鳥の意  
 おきつなみ  沖つ波  頻(し)く・競(きほ)ふ・撓(とを)む・たかし  沖の波が動くさまから  3239
 おきつもの  沖つ藻の  なびく・なばる  沖の藻が波に隠れなびくところから  
 おくつゆの  置く露の  たま・かかる  露の性質・状態から  2339
 おくやまの  奥山の  深木・真木・立つ木  人里離れた奥深い山から  400
 おしてるや  押し照るや  難波(なには)  語義未詳  
 おふしもと  生ふ楉〔上代語〕  もと  楉(しもと、若木の細枝)と同音を含むことから  
 おほきみの  大君の  三笠(みかさ、地名)  天皇のお召しになるきぬがさ(御笠=みかさ)と同音であることから  
 おほぐちの  大口の  真神  「真神=狼」の口の大きいことから  3282
 おほともの  大伴の  御津(みつ)・見つ  難波の港湾である「大伴の三津」の「三津」と同音から  
 おほとりの  大鳥の  羽易(はかひ)の山  大鳥の「羽交(はがひ)=左右の羽の重なる部分」の意から  
 おほぬさの  大幣の  引く  引っ張りだこ、引く手あまたの意から  
 おほぶねの  大幣の  たのむ・たゆたふ・ゆた・ゆくらゆくら・渡り・頼む・香取・津守  大船のゆったりと揺れるさま、大船を頼りにする意、大船に関連する「津・渡り」「梶取り」と同音を含むことから  3265
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 かがみなす  鏡なす  見る・御津(みつ)・思ふ  鏡のように見るの意から  
 かきかぞふ  掻き数ふ  二(ふた)・四つ  一つ二つと数えることから  
 かきつばた  杜若・燕子花  にほふ・につらふ・佐紀(さき、地名)  カキツバタの花のように美しい意から、花が咲く意の「咲く」の連用形「咲き」と同音であることから、地名「佐紀」にもかかる  1990
 かきほなす  垣穂なす  人(ひと)  垣をめぐらすような四方を囲む人垣から  
 かぎろひの  陽炎の  春・燃ゆ・立つ  陽炎は春に立つことから「春」、その様子から「燃ゆ」  1839
 かこじもの  鹿児じもの  一人子  鹿は一腹一子なので、一人子にかかる  
 かしのみの  樫の実の  ひとり・ひとつ  樫の実が一つずつなることから  
 かすみたつ  霞立つ  春日(かすが)  音に似た地名 1898
 かたいとの  片糸の  よる・くる・あふ  片糸に縁のある語から  
 かみがきの  神垣の  みむろ・みむろの山  神の鎮座する場所である「みむろ」、神社のある山「みむろの山」  
 かみかぜの  神風の  伊勢(いせ、地名)  神風の息吹(いぶき)の同音「い」から「いせ」にかかる、
一説、「いせつひこ」が風を起した伝説があることから「伊勢」に
 
 からころも  唐衣・韓衣  き(着)る・た(裁)つ・かへ(反)す・すそ・そで・ひも  衣服に関する語にかかる  
 からにしき  唐錦  裁つ・織る・縫ふ  布に縁のある語にかかる  
 かりこもの  刈り菰の・刈り薦の  乱る  刈り菰は乱れやすいことから  
 かるかやの  刈萱の  乱る・つか(束)・穂  刈り取ったかやの縁から  
         
 きみがきる  君が着る  三笠  「君が着る御笠」という意で、地名・三笠にかかる  
 きみがさす  君がさす  三笠  「君がさす御笠」という意で、地名・三笠にかかる  
 きもむかふ  肝向かふ    「きも(肝臓)」は心臓に向かい合っている、という意で「心」にかかる  
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 くさまくら  草枕  旅・結ぶ・ゆふ・かり・露・多胡  草を結んで枕にして野宿することから  4444
 くしろつく  釧着く  手・手節  釧は手に巻くので「手」にかかる
一説、ひじ・手首すなわち手の節の上につけることから同音の地名「たふし」にかかるともいう
 
 くずのはの  葛の葉の  うら・うらみ  葛の葉は風によく裏返って葉裏の白さが目立つので  
 くもりよの  曇り夜の  たどき(様子)も知らず・惑ふ  物の有様がよくわからない意から  
 くもゐなす  雲居なす    雲が漂うように揺れ動くから  
 くれたけの  呉竹の  ふし・うきふし・伏見・夜(よ)・世  竹の節と同音の「ふし」など、竹の節と節の間を意味しる「節(よ)」と同音の「世・夜」にかかる  
 くれなゐの  紅の  色・うつし心・浅・浅葉(地名)  染色の意や、その浅い意から「浅」、地名「浅葉」にかかる  2838
 くれはとり  呉織・呉服  あや  織物に綾があることから「あや」にかかる  
 くろかみの  黒髪の  乱れ・解け・長き  乱れて解けやすいなど、髪のもつ性質から  2607
         
 ことさへく  言さへく  百済・韓  「さへく」はさえずるの意、外国の言葉が解らないことから  
 このくれの  木の暗れの  繁き・四月  木が茂っている意で「繁き」、陰暦四月頃「木の暗れ」になることから  
 こまつるぎ  高麗剣    柄に環(わ)があることから  
 こまにしき  高麗錦  ひも  高麗錦が紐に用いられることから  2360
 こもまくら  薦枕  たか  普通の枕より高いことから  
 こもりくの  隠り口の  泊瀬  山に囲まれた所の意から  3239
 こもりぬの  隠り沼の    「隠り沼」が草などの下にあって見えないことから  3957
 こゆるぎの  小余綾の  磯・いそぎ  「小余綾の磯」と続くことから、「いそ」と同音を含む「いそぎ」など  
 こらがてを  子等が手を  巻向山   愛しい女性の腕を巻く(枕にする)意から、「巻く」と同音を含む  1819
 ころもでの  衣手の  別る・かへる・田上(たなかみ)・真若(まわか)・名木(なき)  袖が風に翻る意から  2966
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 さきくさの  先草の・三枝の  みつ・なか  「さきくさ」は枝が三つに分かれているところから  1899
 さきたけの  割き竹の  背向(そがひ)  割った竹が互いに反り返って、外側どうし背中合わせになることから  
 さごろもの  狭衣の  小(を)  衣の「緒(を)」の意から、同音の「小(を)」にかかる  
 ささがにの  細蟹の  雲・蜘蛛・曇る・糸、副詞「いと」・厭(いと)ふ  クモの「巣(い)」「糸(いと)」との関わりから  
 ささなみの  細波の  大津・志賀・比良山・連庫(なみくら)山・長等(ながら)山・なみ・寄る・夜・あやし・古き都  琵琶湖周辺の地名や湖水に関連させて  308
 ささなみや  細波や  大津・志賀・比良山・連庫(なみくら)山・長等(ながら)山・なみ・寄る・夜・あやし・古き都  琵琶湖周辺の地名や湖水に関連させて  
 さざれなみ  細れ波  立つ・間なく・しきて・立ちても居ても・磯  さざなみが立つことから  
 さすたけの  刺す竹の  君・皇子・大宮・舎人・よ  「さす」は生えて伸びる意で、竹は勢い良く生長するので繁栄を祝う  
 さつきやみ  五月暗  くら  五月雨のころの夜の暗いことから  
 さつひとの  猟人の  弓月(ゆづき)が嶽(たけ)  猟師が弓を使うことから  1820
 さなかづら  さな葛  さね・のちもあふ・絶えず・いや遠長く  さなかづらのつるが、伸びるさまから  
 さにつらふ  さ丹つらふ  妹・君・色・ひも・もみち・わご大王  「さ」は接頭語、「に」は名詞「丹(に)」、「つら」は名詞「頬(ほお)」、「ふ」は動詞をつくる接尾語・赤い頬をしている意から 1915
 さねかづら    さ寝・のちもあふ  同音で「さ寝」、伸びるさまから「のちも逢ふ」  
 さねさし    相模  語義・かかり方未詳  
 さばへなす  五月蝿なす  さわぐ・荒ぶ   さばへ(夏の蝿)のように、の意  
 さひづらふ  囀らふ  漢(あや)  外国人の話は鳥のさえずりのように聞こえる意から  
 さゆりばな  小百合花  後(ゆり)  同音の「後(ゆり)」にかかる  1507
 さをしかの  さ牡鹿の  入野(いりの、地名)  鹿が分け入る野、ということから  
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 しきしまの  敷島の・磯城島の  大和・日本(やまと)・ふる  欽明天皇の磯城島金刺宮が大和にあったことから  3340
 しきたへの  敷き妙の・敷き栲の  枕・床・衣・たもと・袖・家・黒髪  しきたへが寝具であることから  636
 ししじもの  鹿じもの・猪じもの  い這(は)ひ・膝折り・弓矢囲み・水漬(みづ)く  〔「じもの」は、~のようなものの意の接尾語〕鹿・猪のように、から  
 しづたまき  倭文手纏  数にもあらぬ・賎しき  「しづたまき」が粗末なものである意から  
 しながどり  しなが鳥  猪名(ゐな、地名)・安房(地名)  雌雄が常に相率いるところから「率(ゐ)」の音を含む猪名
一説に、「あ」と鳴くことから、「安房」にもかかる
 
 しなざかる      都から遠く離れた、の意から  4274
 しなてる  級照る  片・鳰の湖(うみ)  語義・かかり方未詳  
 しののめの  東雲の  明く  夜が明ける意から  
 しほぶねの  潮船の  並ぶ・置く  海に船が並んだり、置かれたりすることから  
 しまつとり  島つ鳥    島にいる鳥の意から  
 しもとゆふ  細枝結ふ  葛城山  焚き木などにする細枝を、葛で束ねる意から  
 しらくもの  白雲の  立つ・竜田山・絶ゆ・かかる  雲が沸き上がったり、消えたり、山に掛かったりすることから  
 しらすげの  白菅の  真野(まの、地名)  白菅の名所であるところから  
 しらたまの  白玉の  緒・緒絶えの橋 (「わが子・君・人・涙」などは形式化した比喩)  白玉を貫く「緒」の意から「緒」  3837
 しらつゆの  白露の  おく・消(け)・たま  露の縁から  597
 しらとりの  白鳥の  鷺・飛羽(とば)山  白い鳥、鳥が飛ぶ意から  591
 しらなみの  白波の  浜・よる・うち・かへる・いちしろく  波の連想から  3037
 しらぬひ  不知火・白縫  筑紫  かかり方未詳  
 しらまゆみ  白真弓・白檀弓  はる・い・ひく  弓は弦を張り、それを引いて射る、の意から 1927
 しろたへの  白栲の・白妙の  袖・袂・紐・襷・帯・雲・雪・波  白栲で衣服を作ることから、またその白いことから  2949
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 すがのねの  菅の根の  長し・乱る・ねもころ  菅の根が長く乱れていることから、またその同音から  682
 すみぞめの  墨染めの  暗し・夕べ・たそかれ・くらぶ・鞍馬  墨染めの色の感じから、また同音から  
 すみのえの  住江の  松・待つ・きし  住之江が松の名所であることから、同音にかかる  3823
         
 そらかぞふ  空数ふ  大津など「おほ」を語頭に持つ「地名」にかかる  かかり方未詳  
 そらみつ  「そらにみつ」とも  やまと(大和・倭)  語義・かかり方未詳  
         
 たかくらの  高座の  三笠(みかさ、地名)  天皇の玉座の上につるされる「御蓋(みかさ)」と同音から  376
 たかさごの  高砂の  待つ・尾上(をのへ)  兵庫県高砂神社の「相生の松」が有名だからか...  
 たかしるや  高知るや  天の御(み)かげ  天高く聳える御殿は、天の日を覆って影を作るという意から  
 たかてらす  高照らす    天高く照らす意から  
 たかひかる  高光る    天に高く輝く意から  
 たかゆくや  高行くや  はやぶさ  空を高く飛ぶことから  
 たぎつせの  激つ瀬の  はやし  流れの早い瀬の意から  
 たくつのの  栲綱の  しろ・しら  栲綱(楮の繊維で作った網)の色が白いところから  
 たくなはの  栲縄の  長き・千尋  栲縄の長いところから  
 たくひれの  栲領巾の  かけ・白・鷺  栲領巾は色が白く、また肩にかけることから  
 たくぶすま  栲衾  しら  栲衾の色が白いところから  
 たたなづく  畳なづく  青垣  幾重にもうねり重なる意から  3201
 たたみこ  畳薦  平群・隔つ  畳にする薦を幾重にも重ねる意から「へ(重)」の音にかかる  
 たまがきの  玉垣の  みつ・うち  玉垣を「瑞垣(みづがき)」とも言うので類音の「みつ」、美しい垣の内の意から  
 たまかぎる  玉かぎる  夕・日・ほのか・はろか・一目のみ・磐垣淵(いはがきふち)  「かぎる」は「輝く」の意で玉のほのかに光る状態から  1820
 たまかつま  玉勝間・玉籠  あふ・しま  「かつま」は竹のかごの意で、身と蓋が逢うところから、またかごの目のしまっているところから  2928
 たまかづら  玉葛・玉蔓  長し・延(は)ふ・いや遠長く・絶ゆ・実・花  葛のつるがのび広がる意から、また葛の花・実の意から  102
 たまきはる    命・いく世・うち・吾(わ)  語義未詳  2536
 たまくしげ  玉櫛笥・玉匣  ふた・箱・ひらく・覆ふ・あく・奥・身  櫛笥に関係のあるものから  594
 たまくしろ  玉釧  まく・手に取り持つ  玉釧は手に巻くことから  
 たまだすき  玉襷  うね・かく  たすきをうなじにかけることから  
 たまだれの  玉垂れの  越智(地名)  玉を緒に通して垂らしたものの意から、緒と同音の「を」にかかる  2368
 たまづさの  玉梓の・玉章の  使ひ・人・妹・通ふ  便りの使者が梓の杖を持ったことから  2591
 たまのをの  玉の緒の  長し・短し・絶ゆ・乱る・継ぐ・間もおかず  玉を貫く緒の状態から、それに関連したもの  2798
 たまほこの  玉桙の・玉鉾の  道・里  語義・かかり方未詳  2958
 たまもか  玉藻刈る  沖・敏馬(みぬめ)・をとめ・辛荷(からに)の島・海人  玉藻は沖にあることから、また地名にもかかる  
 たまもよし  玉藻よし  讃岐  美しい海藻を産することから地名「讃岐」にかかる  
 たらちねの  垂乳根の  母・親  「たらちね」の「母・親」の意から  3299
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 ちちのみの  乳の実の    同音の繰り返しで  
 ちはやぶる  千早振る  神・宇治  強大な力を持つ意から  2671
         
 つがのきの  栂の木の・樛の木の  つぎつぎ  類似音を重ねて  
 つきくさの  月草の  うつる・消(け)ぬ・かる  月草野花汁を布にすりつけるとよく染まるが、色が落ち易いところから  
 つぎねふ    山城(地名)  語義・かかり方未詳  3328
 つのくにの  津の国の  なには・ながす・来や・ながら・見つ・まろや  摂津の地名「難波・長洲・昆野・長野」などの類音から  
 つのさはふ    いは  語義・かかり方未詳  
 つゆしもの  露霜の  秋・消(け)・置く・過ぐ  露霜が「置く・消える・なくなる」などの意から、また秋の代表的な景物であることから  3057
 つるぎたち  剣太刀  身・磨ぐ・己(な)が心・名  刀剣は身につけるものであるところから、また古代、刀剣を「な」と称したことから同音の「な」にかかる  607
         
 ときつかぜ  時つ風  吹飯(ふけひ、地名)  「吹く」と同音を含む地名から  3215
 とぶとりの  飛ぶ鳥の  明日香・早し・至る  天武天皇の時代、「飛鳥浄御原宮と名付けられた宮殿が、明日香の地にあったことから、また飛ぶ鳥のように素早く、というところから  78
 とほつひと  遠つ人  まつ・かり  遠くの人を待つ、遠くから来る雁を人と見たことから  875
 ともしびの  灯火の  あかし(明石)  灯火の明るいことから  
 とりがなく  鳥が鳴く・鶏が鳴く  東(あづま)  かかり方未詳  4357
         
 なくしかの  鳴く鹿の  起き臥し  語義・かかり方未詳  
 なつくさの  夏草の  思ひ萎(しな)ゆ・繁し・深し・かりそめ・あひね・野島  夏草が生えている野の意から、萎れふす意から、生い茂る意から、そしてそれを刈る意から  
 なつごろも  夏衣  薄し・裁つ・ひとへ・かとり  夏の衣は単衣で薄いことから、また夏の衣として縑(かとり、薄く織った織物)の衣を着用するので、その縑と同音の地名「かとり」にかかる  
 なつそひく  夏麻引く  海上(うなかみ、地名)・うなひ・命  夏麻は、夏に麻畑から根を引いて績(う)むことから、その同音の「う」を含む地名、また、夏麻を引いて麻の糸をつくることから、糸(い)と同音を含むことから  
 なまよみの    甲斐(地名)  語義・かかり方未詳  
 なよたけの  弱竹の  とをよる・起きふし・よ(節・夜・世)・ふし  なよたけは、よくたわむことから、また竹の縁から  
 なるかみの  鳴る神の    かみなりの音の意から  
         
 にはたづみ  行潦・庭潦  流る・川・行く方知らぬ  「にはたづみ」は流れるものであることから  
 にはつとり  庭つ鳥  かけ(鶏の古名)  庭で飼う鳥の意から  
 にほどりの  鳰鳥の  潜(かづ)く・葛飾・なづさふ・息長河(おきなががは)・二人並びゐ  鳰鳥は水に潜ることから「かづく」、そしてそれが転じて地名「葛飾」に、また水に浮いていること、息の長いこと、雌雄並んでいることから  
         
 ぬえどりの  鵺鳥の・鵼鳥の  のどよふ・うらなく・片恋ひ  鳴き声が嘆いているように聞こえることから 2001
 ぬばたまの  射干玉の  黒・髪・夜・一夜・夕べ・昨夜(さぞ)・今宵・妹・夢・月  ぬばたまの、実の黒いことから、、そして転じて「妹・夢」にも  1081
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 はしたての  梯立ての  倉橋山・倉橋川・熊来(地名)・険(さが)し  倉などに梯を立てる意から、また「熊来」のかかり方未詳  
 はたすすき  旗薄(はだすすき、とも)  穂・末(うら)  すすきの縁で、穂、穂の先(うら)にかかる  3822
 はなぐはし  花細し  桜・葦  花の美しい意から  2570
 はなすすき  花薄  ほ・ほのか  穂の出たすすき、という意から  
 ははそはの  柞葉の    同音の重なりから  
 はふたつの  這ふ蔦の  別る・己がむきむき  蔦の先が分かれて伸びてゆくことから  
 はるがすみ  春霞  かすが・立つ・ゐ・おぼ・よそに  同音を重ね、そして霞が立つのを居る、というところから、また霞が立って直接に「よそ」が見えないことから  1817
 はるくさの  春草の  しげき・いやめづらし  若草が生い茂る意から、冬枯れの野に芽生える意から 1924
 はるはなの  春花の  にほえさかゆ・さかり・めづらし・貴し・うつろふ  春の花が美しく咲く意から、愛でる意から、散る意から  
         
 ひさかたの  久方の  天・雨・月・雲・空・光・夜・都  天に関係のあることから  4467
 ひなぐもり  ひな曇り  碓氷(地名)  日の曇る薄日の意から同音の地名「碓氷」にかかる  
 ひのもとの  日の本の  大和の国  日本を日ののぼるもとの国と自称したことから  
         
 ふかみるの  深海松の  深む・見る  同音を重ねて  
 ふゆごもり  冬籠り  春・張る  かかり方未詳  1828
 ふるゆきの  降る雪の  消(け)・白髪・いちしろ・行き  雪の性質や状態から、また同音の「行き」にかかる  1659
         
 ほととぎす  時鳥  飛ぶ・飛幡(とばた、地名)  飛ぶことから、地名「飛幡(とばた)」  
         
 まかねふく  真金吹く  吉備・丹生(にふ)  鉄の産地の「吉備」「丹生」にかかる  
 まきさく  真木割く  檜・日  真木を割いてできる割れ目の意の「ひ」と同音あることから  
 まきはしら  真木柱  太し  真木柱は太いことから  
 まこもかる  真菰刈る  大野河原・堀江・伊香保の沼・淀  真菰が多いところから  
 ますらをの  丈夫の  手結ひが浦(地名)  益荒男が「手結(たゆ)ひ」をしているところから  
 まそかがみ  真澄鏡  見る・みぬめ・懸く・磨ぐ・ふた・面影・清し  鏡の使いみち、状態などから  2642
 まつがねの  松が根の  待つ・絶ゆることなく  同音を重ねて、また松の根が絶えずに長く続き意から  
 まよひきの  眉引きの  横山  眉墨で描いた眉の形に似ていることから  
         
 みこころを  御心を  吉野・広田・長田  心を広く、長く、寄すの意から  
 みすずかる  水篶刈る・三篶刈る  信濃  「すず」は篠竹(すずたけ)の意、篠竹が信濃に多く産出することから  
 みづがきの  瑞垣の  神・久し  瑞垣に守り囲まれた神の意から、瑞垣は朽ちることなく久しい時を経ているということから  3276
 みづぐきの  水茎の  岡・水城(みづき)  同音を重ねて、またかかり方未詳で「岡」にもかかる  
 みづとりの  水鳥の  うき・立つ・青葉・鴨  水鳥は水に浮くものから、飛び立つものから、また水鳥の一種である「鴨」に、鴨の羽の青いことから「青葉」などにかかる  4518
 みつみつし    久米(くめ・氏族名)  語義・かかり方未詳  
 みなせがは  水無瀬川    表面には水がなく、砂の下を流れることから  601
 みなのわた  蜷の腸  か黒し  蜷(みな、貝の名)の肉を焼いた色が黒いことから  
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 むさしあぶみ  武蔵鐙  さすがに  武蔵の国で産する鎧、端に刺鉄(さすが、留め金)ををつけたことから  
 むらきもの  村肝の・群肝の    臓器に心が宿っていると考えたことから  723
 むらたまの  群玉の  くる  多くの玉が、くるくる廻る意から  
 むらとりの  群鳥の  むれ・朝立つ・立つ  群がった鳥が、朝一斉に飛び立つことから  
         
 もちづきの  望月の  たたはし・たれる・めづらし  満月に欠けている所がないことから、また美しいことから  
 もちどりの  黐鳥の  かからはし(束縛されて離れにくい)  鳥もちにかかった鳥は、立ち離れることができないところから  
 もののふの  物部の・武士の  八十氏(やそうぢ)・八十・五十(い)・宇治川・矢野・矢田・岩瀬  もののふ(文武百官)は数が多いことから、また「八十氏川」にかかることから地名「宇治」、もののふ(武士)の持つ「矢」から地名の「矢田・矢野」、また「岩瀬」にかかる  
 もみぢばの  もみぢ葉の  赤・朱・移る・過ぐ  紅葉は散りやすく色が変わりやすいところから、その色から  3317
 ももしきの  百敷の・百石城の  大宮  多くの石や木で作ってある意から  694
 ももたらず  百足らず  八十(やそ)・五十(い)・山田・筏・斎槻(いつき)  百に足りない、という意から、また「や・い」から始まる「山田・筏」などにもかかる  
 ももづたふ  百伝ふ  八十(やそ)・磐余(いはれ)・渡る・津・鐸(ぬて)  数えて百になる意から「八十」や「五十」の音を持つ地名「磐余」に、また地名「角鹿(つぬが)・度会(わたらひ)」、遠くに行くときに用いた駅路の鈴の意から「鉾(ぬて、上部に長い柄のある大型の鈴)」にかかる  419
         
 やくもさす  八雲刺す  出雲  「さす」は勢いよく立ちのぼる意から  
 やくもたつ  八雲立つ  出雲  雲が幾重にも立ちのぼる意から  
 やすみしし  八隅知し・安見知し  わご大君・わが大君  国の八方を隈なく統治する、また安らかに治める意から  332
 やまがはの  山川の  あさ・おと・たぎつ・はやし  山間の川が流れていく様子から  
 やますげの  山菅の  やまず・実・乱る・背向(そがひ)  同音から、山菅の実の意から、葉の状態から  2478
 やまたづの  山たづの  迎へ  山たづ(接骨木、にわとこの古名)の枝や葉が向かい合っていることから  90
 やまぶきの  山吹の  止(や)む  類音でかかる 1911
         
 ゆくふねの  行く船の  過ぐ  船が行き過ぎることから  2002
 ゆくとりの  行く鳥の  争ふ・群がる・群る  飛んで行く鳥が、先を争うことから、また群をなして飛ぶことから  3340
 ゆくみづの  行く水の  過ぐ・とどめかね  流れてゆく水の様子から  
 ゆふづくよ  夕月夜  暁闇(あかときやみ)・小倉山・入る・入佐・入野  夕方に出る月は、夜中には沈んで明け方が闇になることから、また夕方の月はほの暗いことから「小暗(をぐら)し」と同音を含む地名に、そして夕月が沈むの意から「入(い)る」と同音を含む地名につく  3017
 ゆふつづの  長庚の・夕星の  か行きかく行き・夕べ  「ゆふづつ(夕暮れに西の空に見える金星)」の空を渡る様から、また現れる時刻から  
         
 わかくさの  若草の  夫(つま)・妻・新(にひ)  若草の瑞々しく美しいことから、また新しく若々しいことから  
 わかごもを  若菰を  かり  若くて柔らかな「まこも(水草の名)」を刈る意から  
 わぎもこに  吾妹子に  逢坂山・あふちの花・近江・淡路  「吾妹子」に逢う意から、同音の「あふ」を含むものにかかる  
 わぎもこを  吾妹子を  いざみの山・早見の浜  「吾妹子」を見る意から、  3180
         
 をしどりの  鴛鴦の  浮き・憂き  鴛が水に浮くことから、またその同音にかかる  
 をみなへし  女郎花  佐紀・佐紀野  (をみなへしが)咲く意から 678
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万葉集の部屋