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 2004年6月24日        古今和歌集巻第六

      冬 歌

       雪のふれるを見てよめる                凡河内みつね 

   329  雪ふりて人もかよはぬみちなれやあとはかもなく思ひきゆらん

  雪に覆われた道

 一面の雪景色は、美しいものも、醜いものも覆いつくす

 人が雪を見るとき、新雪の美しさに感嘆するのだが

 それは、すべての醜さを隠した表面の美しさであることも知っている

 雪への畏敬は、虚しい人の心を告白しているかのように響く...

 

  雪が降って、道が消えている

 これまであった道を辿って

 私も歩き、人も歩いてきた

 今、この雪の下にある道を

 誰が歩いてこようというのだろうか

 自分さえも歩けないこの道を

 

  私は道...なのか...

 そんなはずはないのに

 まるでこの道のように、雪の下に埋もれてしまっている

 ...私の心が消えているのは...

 

  自分の虚しい心の消滅

 そのことに思い知らされる