万葉集という私的な歌集が、長きに渡り読み継がれてきたのは、何故だろう。
 日本語という表記文字の未発達な時代にあって、当時のアジア圏...言ってみれば中国政治文化の影響の下、漢字を用いることでしか、治世はおろか、文化さえも芽生えることはなかった。
 しかし、表記文字として漢字を使いつつも、日本語の語法、言葉としての変遷が、万葉集の中に見られる。僅かだが漢詩文も詠まれ、漢語表現も散見される中、後期には純粋な日本の言葉が万葉仮名を生み出している。
 後の平安時代になって、それまでの唐風文化を一新させるように、その頃非公式に使われていた「ひらがな」による初の勅撰歌集「古今和歌集」が献上されるが、この歌集がその当時よりも200年ほども前の時代に存在している「万葉集」を意識して編纂されたことは興味深い。
 混沌とした万葉の時代背景を、一つの憧れとして見据えていた。その具現されたものが「万葉集」だったのでは、と思える。

 本サイトの歌番号は、「新編国歌大観」に基づく、あまり一般的ではないが、多くの校本での非掲載歌も、併せて歌番を附しているため、必然的に従来との歌数及び、歌番号にずれが生じている。参考テキストからの引用も、新編国歌大観歌番号に書き改めて載せる。
 
  は、出典『小学館・日本文学古典全集』
 は、出典『大阪書籍・猪股靜彌著朝日カルチャ−ブックス-37「万葉百話」』
  は、旺文社・全訳古語辞典第三版付録
 は、出典『日本歌学大系・佐佐木信綱 風間書房』
  は、『新編国歌大観』
 
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   万葉の植物
 万葉集で詠われている草花、歌数と代表歌 2014年7月現在、〜「万葉の植物U」 以下継続中  [2014年7月現在26首]
    万葉の植物「写真集」
 「写真集」予定  
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 「写真集」予定  
   私観大伴家持 処世の行方
 家持略伝、年代別歌作、越中時代、私の家持像  [万葉歌で知られる〜759年までの家持 以降も予定している]  
   万葉歌作者プロフィ−ル
 万葉歌人ほぼ全員、題詞、左注のみも歌番号記 2013年3月382名(完)  
   万葉集各巻の歌数Index
 「国歌大観(旧国歌大観)」と「新編国歌大観(新国歌大観)」の具体的な相違歌   
     万葉集各巻の構成・特徴
 全20巻の解説  2013年5月、全20巻(完)  
   万葉集の名義とその読み方
 「万葉集にはいまだに明らかになっていないことが多い。その成立事情や編纂目的などについても、古来様々な論議が・・・」  
   用字法と読み方
 「上代の文献すべてがそうであるように、万葉集も漢字ばかりで書かれ ている。題詞・左注などの漢文表記の部分は勿論、歌も・・・」  
   成立過程と編纂者の問題
 「『万葉集』」という書名が付けられたのは、いつ誰によってか、不明である。これには当然、編纂成立のいきさつの問題が・・・」  
   部立と歌数
 「編纂者は万葉集の歌を分類配列するに当たって、 作品の成立年代の古新は第二の基準とし、それよりもなるべく内容を優先させる・・・」  
   万葉時代の故人とは
 「―日本では、日本書紀、古事記には用例はない。書記・神代巻の天孫降臨の条に、「亡者」、「死人」とある。風 土記、懐風藻、・・・」  
   本文批評のこと
 「現在数多くの写本が残されている が、 校本万葉集に記されたところによって、それらの本文や訓の実体を知ることが・・・」  
   広瀬本万葉集の出現
【古典への招待】「最近(私注:1993年)発見された広瀬本万葉集は、今から二百十余年前の天明元年(1781)に写されたもので、・・・」  
   晩年の大伴家持
【古典への招待】「しかも、その長官(卿)は、家持より三歳年長で、これまで彼に好意的であった藤原真楯(八束)である。だが、・・・」  
   blog「一日一首」  blog「一日一首『萬葉外伝』」で採り上げた「万葉歌」のリスト
   万葉集全20巻掲載
 掲載歌については、歌番号から本歌解説へリンク 全4540首、訓み下し(完)   「古語辞典」添付途中 
   古語活用語表
 動詞・形容詞・形容動詞・助動詞活用表及び助詞一覧表  
   古語文法要語解説
 活用形の用法・修辞  
   活用形の解説
 活用形の成り立ちと、用例  
   枕詞辞典
 古語辞典(複数)で拾える「枕詞」の一覧と、かかる理由を簡単に記す 、詳説も追加していく予定  [2014年7月現在285語]
   歌論集 
 掲載済は
青字
 平安時代から江戸末期までの八作品    [2013年9月13日掲載開始]
   [俊頼髄脳・古来風躰抄・近代秀歌・詠歌大概・毎月抄・国歌八論・歌意考・新学異見]
   日本歌学大系【解題】
 現存最古の「歌経標式」からの歌学史  [2013年9月21日掲載開始]
   2014年5月現在 [歌経標式・倭歌作式(喜撰式)・和歌式(孫姫式)・石見女式(石見女髄脳)・新撰萬葉集序・古今和歌集序・新撰和歌序・和歌體十種・和歌十體(道済十体)]
   歌論書用例歌  [新編国歌大観]に所載されている歌論書の中で、新編国歌大観の【解題】と併せて用例歌を載せる
   2014年9月現在 [歌経標式(全28首)・倭歌作式(全8首)・和歌式(全18首)・石見女式(全7首)・和歌體十種(全50首)・和歌十體(全20首)・俊頼髄脳(全442首)・袖中抄(1080首)]
   諸本と注釈書 その他の歌集
 諸本・近代までの諸注は『新全集』、他は『新編国歌大観』『私家集大成』より  
   諸本 [桂本・金砂子切・嘉暦伝承本・藍紙本・元暦校本・金沢本・天治本・伝壬生隆祐筆本・尼崎本・伝冷泉為頼筆本・春日本・類聚古集・古葉類聚鈔・紀州本・神宮文庫本・細井本・西本願寺本・陽明本・金沢文庫本・大矢本・近衛本・京都大学本・寛永版本・校本万葉集・新校万葉集・定本万葉集・万葉集本文篇] 
   注釈書[万葉集註釈(仙覚抄)・万葉拾穂抄・万葉代匠記・万葉童蒙抄・万葉考・万葉集略解・万葉集古義・]以上近世までと、近代現代の諸注一覧
         [古注釈書補記(代匠記、略解、源氏物語古注釈書四種、古今和歌集古注釈書十二種)]
   柿本人麻呂歌集 [諸本] 
       〔新編国歌大観第三巻1 人丸集[書陵部蔵五〇六・八]〕301首
       〔私家集大成第一巻2 人麿T 柿本人丸集[書陵部蔵「歌仙集」五一一・二]〕241首
       〔私家集大成第一巻3 人麿U 柿本集[書陵部蔵五〇一・四七]〕644首 
       〔私家集大成第一巻4 人麿V 柿本人麿集[冷泉家時雨亭叢書『素寂本私家集西山本私家集』]〕766首
       〔私家集大成第一巻新編増補 人麿W 人丸集[冷泉家時雨亭叢書『詞林采葉抄人丸集』]〕296首
   猿丸大夫歌集 [諸本] 
       〔新編国歌大観第三巻4 猿丸集[書陵部蔵五一〇・一二]〕52首
       〔私家集大成第一巻9 猿丸T 猿丸集[冷泉家時雨亭叢書『資経本私家集一』]〕52首
       〔私家集大成第一巻10 猿丸U 猿丸大夫集[書陵部蔵五〇一・六八]〕52首 
    万葉歌絡みの、その他の「歌集」2014年8月現在
    [三十六人集(三十六人撰150首・家持集318首・赤人集354首・小町集116首・重之集323首)・素性集65首・興風集74首・私家興風集74首・躬恒集482首]
    [夜の目覚(物語)75首・悦目抄112首・八雲御抄219首・二条院讃岐集98首・金玉和歌集78首・深窓秘抄101首・秋萩集48首・和歌深秘抄21首・月詣和歌集1076首・相模集597首・秋篠月清集(良経)1611首・季経集107首・為家千首998首・範永集190首・明日香井和歌集1672首・金葉和歌集(二度本717首・三奏本650首)・六条修理大夫集368首・
綺語抄747首・秘蔵抄180首・奥儀抄645首・五代集歌枕1890首・好忠集587首・殷富門院大輔集305首・時代不同歌合300首・新時代不同歌合300首・為信集163首・一条摂政御集(藤原伊尹)194首]
 
   [新編国歌大観『解題』] 2014年8月現在
    [万葉集・玉葉和歌集・夫木和歌抄・歌枕名寄・新拾遺和歌集・古今和歌六帖・後撰和歌集・雲葉和歌集・和歌童蒙抄・新千載和歌集・拾遺和歌集・続後拾遺和歌集・和漢朗詠集・夜の目覚・定家八代抄・古今和歌集・風雅和歌集・玉葉和歌集・新古今和歌集・続古今和歌集・万代和歌集・三草集・嘉元百首・伏見院御集・後拾遺和歌集・春夢草(肖柏)・うけらがはな・鈴屋歌集・為忠家初度百首・後度百首]  
  
 万葉の時代  万葉の時代の雑学 古代文学の常識−万葉の時代− 出典:「國文學」學燈社1997年7月号第42巻8号 
     万葉集の伝本  万葉集の伝本にはどんなものがあるか
     万葉集の注釈書  契沖「万葉代匠記」から現代まで
     校本万葉集  校本万葉集はどのように用いるか
     万葉集の成立  万葉集の成立はどのように考えられているか
     字余りとは  字余りとはなにか
     五七調と七五調  五七調と七五調の違いはなにか
     人麻呂歌集の略体歌と非略体歌  人麻呂歌集の略体歌と非略体歌とはなにか
     寄物陳思・正述心緒とはなにか  万葉集巻十一、十二に見られる分類名目
     枕詞とは  枕詞の成り立ち  「枕詞辞典」へリンク予定
     音喩とは  
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     雑歌とは  万葉集の三大部立の一つ
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     女歌とは  女歌とはどのような歌か
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     和歌への批評意識  和歌への批評意識はどのように生じたか
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     中国文学の知識  中国文学の知識はどこまで必要か
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