動詞活用表 出典全訳古語辞典 第三版[旺文社]


   未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 主な用法[活用形の見分け方]   ム・ズに連なる   タリに連なる  言い切る  トキ・コトに連なる  ドモに連なる  命令の意味で言い切る
 活用形単独での用法    中止法  終止法  準体法「ぞ・なむ・や・か」の結び  「こそ」の結び  命令法

四段活用        
   例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
   咲く    −か  −き  −く  −く  −け  −け
   泳ぐ  およ  −が  −ぎ  −ぐ  −ぐ  −げ  −げ
   消す    −さ  −し  −す  −す  −せ  −せ
   待つ    −た  −ち  −つ  −つ  −て  −て
   思ふ  おも  −は  −ひ  −ふ  −ふ  −へ  −へ
   呼ぶ    −ば  −び  −ぶ  −ぶ  −べ  −べ
   読む    −ま  −み  −む  −む  −め  −め
   取る    −ら  −り  −る  −る  −れ  −れ
 五十音図の「ア・イ・ウ・エ」の四段にわたって活用する。

ラ行変格活用(ラ変)        
 例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 有り    −ら  −り  −り  −る  −れ  −れ
 ラ行の四段にわたって活用するが、終止形がイ段の音「り」で終り、四段活用と違っている。「有り・居り・侍り・いまそがり」の四語が基本。

ナ行変格活用(ナ変)        
 例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 死ぬ    −な  −に  −ぬ  −ぬる  −ぬれ  −ね
 ナ行の四段にわたって活用するが、連体形・已然形はウ段の音「ぬ」に「る・れ」が付き、四段活用とは違っている。「死ぬ・往ぬ(去ぬ)」の二語。

下一段活用        
   活用語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
   蹴(け)る        ける  ける  けれ  けよ
 エ段の「け」と、それに「る・れ・よ」の付いたものとからなる。「蹴る」の一語。

下二段活用        
   例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
   得(う)  (得)        うる  うれ  えよ
   受ける    −け  −け  −く  −くる  −くれ  −けよ
   告ぐ    −げ  −げ  −ぐ  −ぐる  −ぐれ  −げよ
   寄す    −せ  −せ  −す  −する  −すれ  −せよ
   混ず    −ぜ  −ぜ  −ず  −ずる  −ずれ  −ぜよ
   捨つ    −て  −て  −つ  −つる  −つれ  −てよ
   出づ    −で  −で  −づ  −づる  −づれ  −でよ
   寝(ぬ)  (寝)
       ぬる  ぬれ  ねよ
   経(ふ)  (経)
       ふる  ふれ  へよ
   比ぶ  くら  −べ  −べ  −ぶ  −ぶる  −ぶれ  −べよ
   改む  あらた  −め  −め  −む  −むる  −むれ  −めよ
   覚ゆ  おぼ  −え  −え  −ゆ  −ゆる  −ゆれ  −えよ
   流る  なが  −れ  −れ  −る  −るる  −るれ  −れよ
   据う    −ゑ  −ゑ  −う  −うる  −うれ  −ゑよ
 ウ・エの二段と、ウ段の音に「る・れ」、エ段の音に「よ」が付いたものとからなる。

上一段活用        
   例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
   着る  (着)      きる  きる  きれ  きよ
   似る  (似)
     にる  にる  にれ  によ
   干る  (干)
     ひる  ひる  ひれ  ひよ
   見る  (見)
     みる  みる  みれ  みよ
   射る  (射)      いる  いる  いれ  いよ
   居る  (居)      ゐる  ゐる  ゐれ  ゐよ
 イ段の音と、それに「る・れ・よ」が付いたものとからなる。

上二段活用        
   例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
   起く    −き  −き  −く  −くる  −くれ  −きよ
   過ぐ    −ぎ  −ぎ  −ぐ  −ぐる  −ぐれ  −ぎよ
   落つ    −ち  −ち  −つ  −つる  −つれ  −ちよ
   恥づ    −ぢ  −ぢ  −づ  −づる  −づれ  −ぢよ
   強ふ    −ひ  −ひ  −ふ  −ふる  −ふれ  −ひよ
   延ぶ    −び  −び  −ぶ  −ぶる  −ぶれ  −びよ
   恨む  うら  −み  −み  −む  −むる  −むれ  −みよ
   悔ゆ    −い  −い  −ゆ  −ゆる  −ゆれ  −いよ
   下る    −り  −り  −る  −るる  −るれ  −りよ
 イ・ウの二段と、ウ段の音に「る・れ」、イ段の音に「よ」が付いたものとからなる。

カ行変格活用(カ変)        
 活用語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 来(く)  (来)        くる  くれ  こ(こよ)
 イ・ウ・オの三段の音と、ウ段の音に「る・れ」、オ段の音に「よ」の付いたものとからなる。「来」の一語。

サ行変格活用(サ変)        
 例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 為(す)  (為)        する  すれ  せよ
 イ・ウ・オの三段の音と、ウ段の音に「る・れ」、エ段の音に「よ」の付いたものからなる。「為・おはす」の他に、複合語「愛す・命ず・重んず」など。





形容詞活用表

   未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 主な用法[活用形の見分け方]   ズに連なる  キ・ナ・ルに連なる  言い切る  トキ・ベシに連なる  ドモに連なる  命令の意味で言い切る
 活用形単独での用法    中止法・副詞法  終止法  準体法「ぞ・なむ・や・か」の結び  「こそ」の結び  命令法

 活用  例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 ク活用  高し  たか  −から  −く・−かり  −し  −き・−かる  −けれ  −かれ
 シク活用  美し  うつく  −しから  −しく・−しかり  −し  −しき・−しかる  −しけれ  −しかれ






形容動詞活用表

   未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 主な用法[活用形の見分け方]   ズに連なる  キ・ナ・ルに連なる  言い切る  トキ・ベシに連なる  ドモに連なる  命令の意味で言い切る
 活用形単独での用法    中止法・副詞法  終止法  準体法「ぞ・なむ・や・か」の結び  「こそ」の結び  命令法

 活用  例語  語幹  未然形  連用形  終止形  連体形  已然形  命令形
 ナリ活用  静かなリ  しづか  −なら  −なり・−に  −なり  −なる  −なれ  −なれ
 タリ活用  堂々たり  だうだう  −たら  −たり・−と  −たり  −たる  −たれ  −たれ





主要助動詞活用表

種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
使役
尊敬
         する  すれ  せよ 下二段 四段・
ナ変・
ラ変の未然形
@使役の意を表す。〜せる。
A尊敬の動詞「賜ふ・宣ふ」などに付いて、最高の尊敬の意を現す。
B謙譲の動詞「参・奉る・申す」などに付いて、謙譲の意を強める。
C尊敬の補助動詞「給ふ・おはします・まします」、尊敬の助動詞「らる」などとともに用いて、尊敬の意をさらに強める。最高敬語。お〜になられる。〜なされる。

D戦記物などで、受身の「る」に代えて用いる。「武者詞」といわれ、「〜れる」というところを「〜せる」と言い表す。
 さす  させ  させ  さす  さする  さすれ  させよ 下二段 上の他の未然形 @使役の意を表す。〜させる。
A尊敬の補助動詞「給ふ・おはします・まします」、尊敬の助動詞「らる」などとともに用いて、尊敬の意をさらに強める。最高敬語。お〜になられる。〜なされる。

B謙譲の意の「聞こゆ」とともに用いて、最高の謙譲の意を表す。〜申しあげる。お〜申しあげる。
C戦記物などで、受身の「らる」に代えて用いる。「武者詞」といわれ、「〜られる」というところを「〜させる」と言い表す。
 しむ  しめ  しめ  しむ  しむる  しむれ  しめよ 下二段 未然形 @使役の意を表す。〜せる。〜させる。
A「給ふ」とともに用いて、程度の高い尊敬の意を表す。お〜になられる。〜なされる。
Bおもに会話文で、「聞こゆ・申す・奉る・啓す」などの謙譲語に付いて、より高い謙譲の意を表す。
 (しめ)
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
受身
自発
可能
尊敬
         るる  るれ  れよ
下二段 四段・
ナ変・
ラ変の未然形
@受身の意を表す。〜れる。
A自発の意を表す。自然に〜れる。〜ないではいられない。
B可能の意を表す。〜ことができる。
C尊敬の意を表す。お〜になる。〜なさる。
  (○自発
・可能)
 らる  られ  られ  らる  らるる  らるれ  られよ 下二段 上の他の未然形 @受身の意を表す。〜られる。
A自発の意を表す。自然に〜られる。〜ないではいられない。
B可能の意を表す。〜ことができる。
C尊敬の意を表す。お〜になる。〜なさる。
  (○自発
・可能)
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
打消       [に]  [ぬ]       特殊型 未然形 打消の意を表す。〜ない。
           
 ざら  ざり  [ざり]  ざる  ざれ  ざれ
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
推量    
             四段型 未然形 @推量の意を表す。〜(の)だろう。
A意志・意向の意を表す。〜う。〜よう。〜つもりだ。
B(連体形を用いて)仮定または婉曲の意を表す。〜とすれば、その。
〜のような。
C(多く「こそ」の結びとして已然形を用いて)適当・当然、婉曲な命令の意を表す。〜のがよい。〜はずだ。
D勧誘の意を表す。〜う。〜よう。〜ない(か)。
E(已然形「め」が疑問の助詞「や・か」を伴って)反語の意を表す。〜だろう(か)(いや、〜ないだろう)。〜(ない)だろう(か)(いや、〜だろう)。
 [ん]  [ん]  [ん]
 むず       むず  むずる  むずれ   サ変型 未然形 @推量の意を表す。〜だろう。
A意志の意を表す。〜う。〜よう。
B適当・当然の意を表す。〜のがよいだろう。〜べきだ。
 [んず]  [んず]  んずる  んずれ
 らむ       らむ  らむ  らめ   四段型 終止形、
ラ変には連体形
@目の前にない現在の事実について推量する意を表す。今頃〜しているだろう。
A現在の事実について、その原因・理由を推量する意を表す。(〜というので)〜のだろう。
B現在の事実について、その原因・理由を疑問を持って推量する意を表す。
 どうして〜しているのだろう。〜しているのはなぜだろう。
C他から聞いたり読んだりしたと言う伝聞の意を表す。
〜ているという。〜そうだ。
D(連体形を用いて)仮定または婉曲の意を表す。
 〜ているとすれば、その。〜ているような。
E「む」と同じく、単なる推量の意を表す。〜だろう。
F(已然形「らめ」が疑問の助詞「や」を伴って)反語の意を表す。
 〜ているだろう(か)(いや、〜ないだろう)。
 [らん]  [らん]  [らん]
 けむ      けむ  けむ  けめ   四段型 連用形 @過去のある動作・状態を推量する意を表す。〜ただろう。〜ていただろう。
A(疑問語とともに用いて)過去の事実について、時・所・原因・理由などを推量する意を表す。〜たのだろう。〜ていたのだろう。
B過去の事実を人伝に聞き知ったように婉曲に表す。〜たという。〜たとかいう。
 [けん]  [けん]  [けん]
 めり    めり  めり  める  めれ   ラ変型 終止形、
ラ変には連体形
@目前の事実について推量する意を表す。〜のように見える。〜のようだ。
A断定を避けて婉曲にいう意を表す。〜ようだ。
 らし      らし  らし  らし   特殊型 終止形、
ラ変には連体形
@ある根拠・理由に基づき、確信をもって推定する意を表す。
 〜にちがいない。きっと〜だろう。
A明らかな事実・状態を表す語に付いて、その原因・理由を推定する意を表す。
 〜(と)いうので〜らしい。
B根拠・理由は示さないが、確信をもって推定する意を表す。
 〜にちがいない。きっと〜だろう。
 らしき
 べし  べから  べく  べし  べき  べけれ   ク活用 終止形、
ラ変には連体形
@推量の意を表す。ア)ある事の起こることを予想する。〜そうだ。
 イ)確実な推測を表す。きっと〜だろう。〜にちがいない。〜らしい。
A予定の意を表す。〜ことになっている。
B当然の意を表す。〜はずだ。〜にちがいない。
C適当の意を表す。〜がよい。〜が適当だ。
D義務の意を表す。〜なければならない。
E可能、または可能性を推定する意を表す。〜ことができそうだ。〜ことができよう。
F(終止形を用いて)意志を表す。〜う。〜よう。〜つもりだ。
 べかり  べかる
 まし   [ませ]     まし   まし   ましか    特殊型  未然形  @ア)(「ませば〜まし」「ましかば〜まし」の形で)事実に反することを仮に想像し、仮想する意を表す。もし〜(た)なら〜(た)だろう(に)。
 イ)(「未然形+ば」など仮定条件句を受けて)仮定の上に立って仮想する意を表す。
 〜(た)だろう(に)。
 ウ)確実な推測を表す。きっと〜だろう。〜にちがいない。〜らしい。
A(単独で用いて)仮定の条件を含んでの仮想の意を表す。〜たら(よかった)。
B(「いかに・なに・や」など疑問の意を表す語とともに用いて)決断しかねる意を表す。
 〜たらよいだろう。〜たものだろう。
C『中世語』単なる推量の意を表す。
〜う。〜よう。〜だろう。
 ましか
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
伝聞
推定
 なり    なり  なり  なる  なれ   ラ変型 終止形、
ラ変には連体形
@(音や声が聞こえることから)推定する意を表す。〜ようだ。〜の声が聞こえる。
A(世間のうわさ・人の話・故事などによる)伝聞の意を表す。〜そうだ。〜ということだ。
B(周囲の状況などから判断して)推定する意を表す。〜ようだ。〜らしい。
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
打消の推量                特殊型 未然形 @打消の推量を表す。〜ないだろう。
A主語が話し手の場合、打消の意志。〜まい。〜ないつもりだ。
 まじ  まじから  まじく  まじ  まじき  まじけれ   シク
活用型
終止形、
ラ変には連体形
@打消の推量の意を表す。〜そうもない。〜ないだろう。
A打消の当然の意を表す。〜はずがない。
B不適当の意を表す。〜ないほうがよい。〜のはふさわしくない。
C禁止の意を表す。〜てはならない。
D不可能の予測を表す。〜(ことが)できそうもない。
E打消の意志を表す。〜まい。〜ないつもりだ。
 まじかり まじかる
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
過去    [せ]        しか   特殊型 連用形、
カ変サ変は特殊
@過去に直接経験した事実、または過去にあったと信じられる事実を回想していう意を表す。〜た。〜ていた。
A(平安末期以降の用法)動作が完了して、その結果が存続している意を表す。
 〜ている。〜てある。
 けり  [けら]    けり  ける  けれ   ラ変型 連用形 @今まで気づかなかった事実に、気がついて述べる意を表す。〜たのだ。〜たなあ。
A人伝に聞き知った過去の事実を伝聞として述べる意を表す。
 〜たという。〜たそうだ。〜たとさ。
B以前から現在まで続いている事柄や伝承を回想する意を表す。
 〜た。〜たのであった。
C詠嘆の意をこめて、これまであったことに気づいた意を表す。
 〜たことよ。〜ことよ。
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
完了          つる  つれ  てよ 下二段 連用形 @動作・作用が実現し、完了した意を表す。〜た。〜てしまう。〜てしまった。
A動作・作用の実現を確信したり、確認したりする意を表す。確述(強意)の用法。
 ア)単独で用いる場合。必ず〜。確かに〜。〜してしまう。
 イ)推量の助動詞とともに用いて、「てむ・てまし・つべし」などの形になる場合。
   推量・意志・可能などの意を、「確かに・きっと・必ず」の気持ちで述べる。
B(中世以降の用法)終止形を重ね用いた「〜つ〜つ」の形で、二つの動作・作用が並立している意を表す。〜たり〜たり。
         ぬる  ぬれ   ナ変型 連用形 @動作・作用が実現し、完了した意を表す。〜た。〜てしまう。〜てしまった。
A動作・作用の実現を確信したり、確認したりする意を表す。確述(強意)の用法。
 ア)単独で用いる場合。必ず〜。確かに〜。〜してしまう。
 イ)他の助動詞とともに用いて、「なむ・なまし・ぬべし」などの形になる場合。
   推量・意志・可能などの意を、「確かに・きっと・必ず」の気持ちで述べる。
B(中世以降の用法)終止形を重ね用いた「〜ぬ〜ぬ」の形で、二つの動作・作用が並立している意を表す。〜たり〜たり。
 たり  たら  たり  たり  たる  たれ  たれ ラ変型 連用形 @動作・作用が完了した意を表す。〜た。
A動作・作用の結果が存続している意を表す。〜ている。
B動作・作用が継続している意を表す。〜ている。
Cその状態であること、またはその性状をそなえていることの意を表す。
 〜ている。〜た。
D(中世以降の用法)終止形を重ね用いた「〜たり〜たり」の形で、二つの動作・作用が並立している意を表す。〜たり〜たり。
              ラ変型 四段の已然形
サ変の未然形
@動作・作用が継続している意を表す。〜ている。
A動作・作用の結果が存続している意を表す。〜ている。〜てある。
B動作・作用が完了した意を表す。〜てしまった。〜た。
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
希望   まほし  まほし
から
 まほしり  まほし  まほしき  まほし
けれ
  シク
活用型
未然形 @動作の主体の希望の意を表す。〜たい。
A他に対してその状態への希望の意を表す。〜てほしい。
 まほし
かり
 まほし
かる
 たし   たから  たく  たし  たき  たけれ   ク活
用型
連用形 @自己の動作の実現を希望する意を表す。〜たい。
A他の動作・状態について、話し手自身の希望の意を表す。〜てほしい。
 たかり  たかる
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
断定   なり  なら  なり  なり   なる  なれ  なれ ナリ
活用型
 
体言・連体形 @断定を表す。〜である。〜だ。
A(場所などを表す語を受けて)存在を表す。〜にある。〜にいる。
B(親族関係を表す語を受けて)資格を表す。〜である。〜にあたる。
C(近世語)人名などを表す語を受けて「〜という」の意を表す。
 [に]
 たり   たら  たり  たり   たる   たれ  たれ タリ
活用
体言  断定の意を表す。〜だ。〜である。
  [に]
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
比況  ごとし    ごとく  ごとし  ごとき     ク活
用型
連体形、
助詞「の・が」
@ある事柄が他のある事柄と同じである意を表す。〜(と)同じだ。〜(の)とおりだ。
Aある事柄を他の似ている事柄に比べたとえる意を表す。
 〜(の)ようだ。〜に似ている。
B(平安末期以降)多くの中からあるものを例示する意を表す。
 たとえば〜(の)ようだ
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
受身
可能
自発
 [ゆ]
       ゆる  ゆれ   下二段 四段・ナ変・
ラ変の未然形
@受身の意を表す。〜れる。
A可能の意を表す。〜ことができる。
B自発の意を表す。自然に〜れる。
 [らゆ]             下二段 ナ行二段の
未然
可能の意を表す。〜ことができる。〜られる。
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
尊敬  [す]
       する  せれ   四段型 四段・サ変の未然形 軽い尊敬、親愛の意を表す。お〜になる。〜なさる。
種類 基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型  接続  意味・用法 
反復
継続
 [ふ]            [へ] 四段型 四段の未然形 @動作の反復の意を表す。何度も〜する。しきりに〜する。
A動作の継続の意を表す。〜しつづける。





主要助詞一覧表

 種類    意味・用法[()内は訳語]  接続  用例
格助詞     @連体修飾語(の) 体言や連体形     @我が庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり (古今雑歌下-983)
 A主語(が)  A雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。(枕草子) 
 Bいわゆる同格(で)  Bいとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。(源氏物語) 
 C準体言(体言の代用)(のもの)  Cこの歌は、ある人のいはく、大伴黒主がなり。(古今 詞書) 
   @連体修飾語(の) 体言や連体形など      @いかなる人の御馬ぞ。(徒然草)
 A主語(が)   A世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(古今春歌上-53) 
 Bいわゆる同格(で)   B都の人の、ゆゆしげなるは、睡りて、いとも見ず。(徒然草) 
 C準体言(体言の代用)(のもの)   C草の花は、なでしこ。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし。(枕草子) 
 C枕詞・序詞の終り(のように)   D風吹けば峰に分かるる白雲の絶えてつれなき君が心か(古今恋歌二-601) 
   連用修飾語 ア)動作の対象(を) 体言や連体形    ア:富士の山を見れば、五月のつごもりに、雪いと白う降れり。(伊勢物語)
 イ)起点・経由点(を)  イ:神無月のころ、栗栖野といふ所を過ぎて−(徒然草)
 ウ)強調  ウ:昼は日一日寝をのみ寝くらし−(源氏物語)
     連用修飾語 ア)時間・場所(に) 体言や連体形
(クとケの場合には動詞の連用形)
 ア:この人、国にかならずしも言ひ使ふものにもあらざなり。(土佐日記)
 イ)帰着点(に)  イ:三河の国、八橋といふ所にいたりぬ。(伊勢物語)
 ウ)動作の対象(に)  ウ:つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて−(徒然草)
 エ)使役の対象(に)  エ:見苦しとて、人に書かするは、うるさし。(徒然草)
 オ)原因・理由(によって)  
 カ)結果(に)  カ:三月ばかりになるほどに、よきほどなる人に成りぬれば−(竹取物語)
 キ)受身の主体(から)  
 ク)目的(ために)  ク:東の方に住むべき国求めにとて行きけり。(伊勢物語)
 ケ)強調  
   連用修飾語 方向(へ) 体言  からすのねどころへ行くとて−(枕草子)
   連用修飾語 ア)動作の共同者(と) 体言や体言に準ずる語
(オの場合は文の言い切りの形、
クの場合は動詞の連用形)
 
 イ)動作の相手(と)  イ:何事ぞや。童べと腹立ち給へるか。(源氏物語)
 ウ)比較の基準(と比べて)  ウ:かたちなどは、かの、昔の夕顔と劣らじや。(源氏物語)
 エ)結果(に)  
 オ)引用(と)  オ:「いかなる所ぞ」と問へば−(更級日記)
 カ)並列(と)  
 キ)比喩(のように)  キ:笛の音のただ秋風と聞こゆるになど萩の葉のそよと答へぬ(更級日記)
 ク)強調  ク:生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。(古今 仮名序)
 より  連用修飾語 ア)起点(から) 体言や連体形など
 イ)経由点(を)  イ:前より行く水を、初瀬川といふなりけり。(源氏物語)
 ウ)手段・方法(で)  ウ:ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩よりまうでけり。(徒然草)
 エ)即時(やいなや)  エ:名を聞くより、やがて面影は推しはからるる心地するを−(徒然草)
 から  連用修飾語 ア)起点(から) 体言や連体形     ア:波の花沖から咲きて散り来めり水の春とは風やなるらむ(古今物名-459)
 イ)経由点(を)  イ:月夜よみ妹に逢はむと直道からわれは来れども夜そふけにける(万11-2625)
 ウ)原因・理由(によって)  ウ:長しとも思ひぞはてぬ昔よりあふ人からの秋の夜なれば(古今恋歌三-636)
 エ)手段・方法(で)  
 にて  連用修飾語 ア)場所・時刻(で) 体言や連体形     ア:潮海のほとりにてあざれあへり。(土佐日記)
 イ)資格(で)  
 ウ)手段・方法(で)  ウ:夜一夜、舟にてかつがつ物など渡す。(更級日記)
 エ)原因・理由(によって)  エ:我朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ。(竹取物語)
 して  連用修飾語 
ア)使役の対象(に命じて)
体言と格助詞「を」  ア:人して、惟光召させて−(源氏物語)
 イ)手段・方法(で)  イ:御迎へに来む人をば、長き爪して眼をつかみ潰すさむ。(竹取物語)
 ウ)動作の共同者(とともに)  ウ:もとより友とする人、ひとりふたりして行きけり(伊勢物語)
 種類    意味・用法[()内は訳語]  接続  用例
接続助詞       @順接の仮定条件(なら) 未然形  @月の都の人まうで来ば捕らへさせむ。(竹取物語)
 A原因・理由(ので) 已然形  Aいと幼ければ、籠に入れて養ふ。(竹取物語)
 B単純接続(と・ところ)  B浜を見れば、播磨の明石の浜なりけり。(竹取物語)
 C恒常条件(といつも)  C疑ひながらも念仏すれば、往生す。(徒然草)
   逆接の仮定条件(ても)  終止形や形容詞型の連用形など   風吹くと枝をはなれて落つまじく花とぢつけよ青柳の糸(山家集)
 とも  用ありて行きたりとも、その事果てなば、とく帰るべし。(徒然草)
   @逆接の確定条件(のに)
 A逆接の恒常条件(てもやはり)
已然形   @秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(古今秋歌上-169)
 ども  A二人行けど行き過ぎがたき秋山をいかにか君が一人越ゆらむ(万2-106)
    @単純接続(が) 連体形   @落ち入りける時、巳の時ばかりなりけるが、日もやうやく暮れぬ。(枕草子)
 A逆接の確定条件(のに)  A昔より多くの白拍子ありしが、かかる舞はいまだ見ず。(平家物語)
に・を  @逆接の確定条件(のに) 連体形   @雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて−(枕草子)
 A原因・理由(ので)  Aこのことを嘆くに、ひげも白く、腰もかがまり、目もただれにけり。(竹取物語)
 B単純接続(と・ところ)   B家にいたりて門に入るに、月あかければ、いとよく有り様見ゆ。(土佐日記)
 B垣のくづれより通ひけるを、度重なりければ−(古今 詞書)
       @継続・並立(て) 連用形     @春過ぎて夏来るらし白栲の衣ほしたり天香具山(万1-28)
 A原因・理由(ので)  A八日。さはることありて、なほ同じところなり。(土佐日記)
 B逆接の確定条件(のに)  B汝、姿は聖にて、心は濁りに染めり。(方丈記)
 C状態(の状態で)  C三寸ばかりなる人、いとうつくしうて居たり。(竹取物語)
 D補助動詞に続く  D寺法師の円伊僧正と同宿して侍りけるに−(徒然草)
 して  状態(の状態で)  形容詞型・形容動詞型の連用形など   玉くしげ見諸戸山を行きしかば面白くして古思ほゆ(万7-1244)
 ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。(方丈記)
   打消接続(ないで) 未然形  さては、扇のにはあらで、くらげのななり。(枕草子)
 つつ  @反復・継続(ては・つづけて) 動詞・助動詞の連用形   @野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。(竹取物語)
 A並行(ながら)  A水の上に遊びつつ魚を食ふ。(伊勢物語)
ながら  @並行(ながら) 体言・動詞の連用形
形容詞・形容動詞の語幹
  
 @膝元に置きつつ、食ひながら文をも読みけり。(徒然草)
 A逆接の確定条件(のに)  A身はいやしながら、母なむ宮なりける。(伊勢物語)
 B条件・状態の不変(のままで)  B源氏の五十余巻、櫃に入りながら−(更級日記)
ものの
ものから
ものを
ものゆゑ
   
 @逆接の確定条件(のに)  連体形     @君来むと言ひし夜ごとに過ぎぬれば頼まぬものの恋ひつつぞ経る(伊勢物語)
 @ほととぎす汝が鳴く里のあまたあればなほうとまれぬ思ふものから(古夏-147)
 @順接の確定条件(原因・理由)
(ので)[ものの]は除く
 @生まれしも帰らぬものを我が宿に小松のあるを見るが悲しさ(土佐日記)
 Aことゆかぬものゆゑ、大納言をそしりあひたり。(竹取物語)
 種類    意味・用法[()内は訳語]  接続  用例
係助詞    とりたて(は) 種々の語  たけきもののふの心をもなぐさむるは歌なり。(古今仮名序)
   @並立(も) 種々の語  @山里は冬ぞさびしさまさりける人目も草もかれぬと思へば(古今冬-315)
 A類推(さえも)  A夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。(枕草子)
 B詠嘆(もまあ)  B限りなく遠くも来にけるかな。(伊勢物語)
     @強調  種々の語
(A、Bは終助詞とする説もある)
  
 @もとの住みかに帰りてぞ、さらに悲しきことは多かるべき。(徒然草)
 A(文末で)断定(だ)  Aわれはすきずきしき心など無き人ぞ。(源氏物語)
 B(文末で)疑問(か)  Bかばかりになりては、跳びおるともおりなん、いかにかく言ふぞ。(徒然草)
なむ[なん]  強調 種々の語  橋を八つ渡せるによりてなむ八橋と言ひける。(伊勢物語)
   @疑問(か) 種々の語
([や]の文末用法では終止形)
 @袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ(古今春上-2)
 やは  A反語(か、いやそうではない)  Aよき人は、知りたることとて、さのみ知り顔にやは言ふ。(徒然草)
   @疑問(か) 種々の語
([か]の文末用法では連体形)
 @いづれの山か天に近き。(竹取物語)
 かは  A反語(か、いやそうではない)  Aすべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。(徒然草)
 こそ  強調 種々の語  をりふしの移りかはるこそ、ものごとにあはれなれ。(徒然草)
 種類    意味・用法[()内は訳語]  接続  用例
副助詞               だに   @類推(でさえ) 種々の語  @かぐや姫、光やあると見るに、蛍ばかりの光だになし。(竹取物語)
 A最小限 (せめて〜だけでも)  A散りぬとも香をだに残せ梅の花恋しき時の思ひ出にせむ(古今春上-48)
 すら  類推(でさえ) 種々の語  聖などすら、前の世のこと夢に見るは、いと難かなるを(更級日記)
 さへ  添加(までも) 種々の語  春雨ににほへる色も飽かなくに香さへなつかし山吹の花(古今春下-122)
 のみ   @限定(だけ) 種々の語   @花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。(徒然草)
 A強調(特に・ひたすら)  A月・花はさらなり、風のみこそ、人に心はつくめれ。(徒然草)
 ばかり   @程度・範囲(ほど・ぐらい) 種々の語   @降るる時に、軒長ばかりになりて−(徒然草)
 A限定 (だけ)  A月影ばかりぞ、八重葎にもさはらず、さし入りたる。(源氏物語)
 まで   @限度(まで) 種々の語   @明くるより暮るるまで、東の山際をながめて過ぐす。(更級日記)
 A程度(ほど)  A朝ぼらけ有り明けの月と見るまでに吉野の里に降れる白雪(古今冬-332)
 など   @例示(など) 種々の語   @日入りはてて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。(枕草子)
 A婉曲(など)  A火など急ぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。(枕草子)
 し・しも   強調  種々の語  名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと(伊勢物語)
 夜になして京には入らむと思へば、急ぎしもせぬほどに、月出でぬ。(土佐日記
 種類    意味・用法[()内は訳語]  接続  用例
終助詞  か・かな  詠嘆(だなあ)  体言や連体形   苦しくも降りくる雨か神の崎狭野のわたりに家もあらなくに(万3-267)
 あはれなる人を見つるかな。(源氏物語)
   詠嘆(よ) 種々の語  「年立ちかへる」など、をかしきことに、歌にも文にも作るなるは。(枕草子)
    @詠嘆(なあ) 文の言い切りの形など   @花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に(古今春下-113)
 A確認(だね)  Aあべの大臣、火鼠の皮衣もていまして、かぐや姫にすみ給ふとな。(竹取物語)
   禁止(するな) 動詞型の終止形、ラ変型には連体形  あやまちすな。心して降りよ。(徒然草)
   (副詞「な」と呼応して)禁止(な) 動詞型の連用形
(カ変・サ変型には未然形)
 もの知らぬこと、なのたまひそ。(竹取物語)
 や、な起こし奉りそ。幼き人は寝入り給ひにけり。(宇治拾遺物語)
 ばや  願望(たいものだ) 動詞型の未然形  世の中に物語と言ふもののあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ−(更級日記)
なむ[なん]  他に対する願望(てほしい) 未然形  あかなくにまだきも月の隠るるか山の端逃げて入れずもあらなむ(伊勢物語)
がな
もがな
 
 願望(があればなあ)  体言など   あっぱれ、よからう敵がな。(平家物語)
 世の中にさらぬ別れのなくもがな千代もといのる人の子のため(伊勢物語)
 てしが  願望(たいものだなあ)    連用形     思ふどち春の山辺にうちむれてそこともいはぬ旅寝してしが(古今春下-126)
 てしがな  いかでこのかぐや姫を得てしがな、見てしがなと−(竹取物語)
 にしが  伊勢の海に遊ぶ海人ともなりにしが浪かき分けてみるめ潜かむ(後撰)
 にしがな  なほ、いかで心として死にもしにしがな。(蜻蛉日記)
 かし  確認(ね・よ) の言い切りの形  われはこのごろわろきぞかし。(更級日記)
 種類    意味・用法[()内は訳語]  接続  用例
間投助詞      ・よ  @詠嘆(だなあ) 文節の切れ目など  @荒海や佐渡によこたふ天の河(奥の細道)
 A呼び掛け(よ)  A少納言よ、香炉峰の雪いかならむ。(枕草子)
    @(文中で)強調 種々の語   @−ものにあればこの世なる間は楽しくをあらな(万3-352)
 A(文末で)詠嘆(だなあ)  Aつひにゆく道とはかねて聞きしかどきのふけふとは思はざりしを(伊勢物語)

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