明日香散策 | |||||
奈良県立万葉文化館 Nara Prefecture Complex of Man'yo Culture | |||||
万葉日本画の世界 | |||||
私が好きな明日香の、一番居心地の良いところ 最初の試みは、万葉日本画の紹介 「万葉日本画の世界」より 所蔵総数154点の日本画のモチーフになった万葉歌 万葉画そのものは、文化館で鑑賞してください 口語訳は、中西進著「万葉集」より 「画家のことば」は、画集「万葉日本画の世界」の「画家のことば」から、その要約。 従って画家の言葉の本意が精確には伝えられなかったこともあるので、当画集を読んで欲しい |
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2012年1月21日 | 1)霧想 | 日本画家 | 市原義之 | ||
明日香河 川淀さらず 立つ霧の 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに | 山部赤人 | 巻三 325 | |||
あすかがわ かはよどさらず たつきりの おもひすぐべき こひにあらなくに | |||||
口語訳 | 明日香川の川淀にいつもこめている川霧のように、忘れ去るような慕情ではないのに。 | ||||
解説 | 山部赤人が、飛鳥の「神岳」に登って作った歌。この歌は長歌に続く反歌である。平城京に都が遷ってから、飛鳥は「旧き都」になっていた。その旧都を流れる明日香川に、飛鳥への思いを込めた歌である。なお、神岳については、諸説のあるところで、よくわからない。しかし、赤人はその眺めを見て、「哭のみし泣かゆ古思へば」と、飛鳥への思いをつのらせたのであった。 | ||||
画のイメージ | 川霧の立つ幻想的な世界、そこに佇む枯葉を纏った孤高の樹 冬に向かう中で名残を惜しむ秋の色が、描かれている | ||||
画家のことば | 冷え込みが厳しくなる初冬の大和路 | ||||
画家紹介 | 1943年徳島県生まれ。金沢美術工芸大学卒業。日展特選。京展賞、関展賞受賞。現在日展会員。 | ||||
2012年1月21日 | 2)ひさかたの天より | 日本画家 | 伊藤 彬 | ||
わが園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れくるかも | 大伴旅人 | 巻五 822 | |||
わがそのに うめのはなちる ひさかたの あめよりゆきの ながれくるかも | |||||
口語訳 | わが庭に梅の花が散る。天涯の果てから雪が流れくるよ | ||||
解説 | 天平二年(730)に、九州・大宰府の大伴旅人の宅で行われた梅花の宴の歌、32首の中の一首。この宴には、山上憶良や小野老をはじめとするいわゆる「筑紫歌壇」の歌人たちが出席している。当該歌は、旅人が宴の主人として詠んだ歌。庭の景から一気に天空まで広がる空間を包み込んで詠んだ歌である。絵には、天空から流れくる雪か...、と詠まれた幻の梅花が描かれている。 | ||||
画のイメージ | この頃、舶来の梅花は白梅 雪のように降り注ぐ一本の木に、儚く触れる人の心 梅がこんなに輝いて見えるとは... | ||||
画家のことば | 日が経つにつれて、梅・雪などのイメージが強かったのが、散る、ひさかた、流れくる等抽象的な絵画イメージが浮かんできた | ||||
画家紹介 | 1940年兵庫県生まれ。東京藝術大学卒業。元新製作展協会会員。現在創画会会員。 | ||||
2012年1月21日 | 3)佐保の詩 | 日本画家 | 上村淳之 | ||
千鳥鳴く 佐保の河瀬の さざれ波 止む時も無し わが恋ふらくは | 大伴坂上郎女 | 巻四 526 | |||
ちどりなく さほのかわせの さざれなみ やむときもなし わがおもふらくは | |||||
口語訳 | 千鳥が悲しげに鳴く佐保河の瀬の小波、そのようにやむ時もないわが恋心よ | ||||
解説 | 藤原麻呂の歌に、大伴坂上郎女が答えた歌。大伴坂上郎女は大伴安の娘で、旅人の異母妹にあたる。藤原麻呂は不比等の第四子。当時は平城京内の民生を担当する京職大夫という要職にあった。佐保は平城宮の北東にあたり、郎女の宅があったところ。自らの絶え間ない恋慕の情けを、佐保川の小波にたとえている。千鳥は、佐保川の代表的景物であった。 | ||||
画のイメージ | 六曲の屏風に、飛び行く千鳥、川瀬で見送る千鳥が描かれている 遠景はなく、川瀬の草木に戯れる千鳥 くすんだ色彩が、逆に透明な切なさを感じさせる | ||||
画家のことば | 花に、鳥に想いを託した表現は自然との一体感の中で育んできた日本文化の原点であろう | ||||
画家紹介 | 1933年京都府生まれ。京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)卒業。日本芸術院賞受賞。現在創画会会員、京都市立芸術大学名誉教授。 |
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