弦楽四重奏のための「大フーガ」変ロ長調 Op.133                            2004.09.20.記

 

ベートーベン Ludwig van Beethoven (1770〜1827、ドイツ)

 

 

 

 

 この「大フーガ」は、当初第13番(Op.130)の最終楽章として作曲された。しかし、楽曲の長さ、難解さから周囲の忠告を聞きいれ、独立した弦楽四重奏曲としてこの「大フーガ」を送り出した。第13番の最終楽章は、また新しく作曲されたものが使用されているが、ときにはベートーベンの当初の意を汲んで、この「大フーガ」が第13番の最終楽章として演奏されることもある。

 

 この「大フーガ」のメロディに初めて接したとき、その雰囲気があまりにもバッハの「シャコンヌ」に似ていたので驚いた。バッハの時代のバロック音楽、そしてベートーベンの時代のハイドンやモーツァルトなどの古典派音楽。その時代の音楽としては、非常にかけ離れた感じのする音楽の響きを感じてしまう。この曲に、決して宮廷音楽の華麗さは望めない。どうしても、自己の内面性へ、どんどん浸透していくような強靭さが感じられる。嫌でも自分を見詰めなければならない凄まじい気力も必要になってくる。

 

 この「大フーガ」を初めて聞いた演奏は、フルトヴェングラーのライブ録音で、弦楽四重奏ではなく、オーケストラ版だった。時代も半世紀前の録音になる。しかし、その後いろんな洗練された録音での演奏を聴いても、一番味わい深い演奏を感じさせてくれるのは、やはり半世紀前のフルヴェンの演奏だった。この曲を取り上げたとき、必然的にこの演奏家の演奏がまるで唯一無二の作品演奏のように浮かんできた。半世紀前...ドイツが第二次大戦で敗戦国となり、復興に国民が一丸となっている最中での、まさにその心情を奏でるかのような気迫に満ちた演奏だった。そんな環境での演奏がマッチするほど、この「大フーガ」は人間の持つ内面の葛藤を昇華させてくれるのだと思う。

 

 動画は「弦楽四重奏」                     

 

   
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