この「大フーガ」は、当初第13番(Op.130)の最終楽章として作曲された。しかし、楽曲の長さ、難解さから周囲の忠告を聞きいれ、独立した弦楽四重奏曲としてこの「大フーガ」を送り出した。第13番の最終楽章は、また新しく作曲されたものが使用されているが、ときにはベートーベンの当初の意を汲んで、この「大フーガ」が第13番の最終楽章として演奏されることもある。
この「大フーガ」のメロディに初めて接したとき、その雰囲気があまりにもバッハの「シャコンヌ」に似ていたので驚いた。バッハの時代のバロック音楽、そしてベートーベンの時代のハイドンやモーツァルトなどの古典派音楽。その時代の音楽としては、非常にかけ離れた感じのする音楽の響きを感じてしまう。この曲に、決して宮廷音楽の華麗さは望めない。どうしても、自己の内面性へ、どんどん浸透していくような強靭さが感じられる。嫌でも自分を見詰めなければならない凄まじい気力も必要になってくる。
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